次の2項目を目的として、ドイツに出張した。
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Microsoftのブース 写真では見えにくいが、2階部分が接客コーナー |
会場は展示会場図のように区分けされており、テレコミュニケーションの占める割合が比較的大きい(通信分野は欧州が進んでいる)。コンピュータ関連の展示に関しては、VISUALSHOCKデモ説明の合間を縫って主なブースをざっと回ったが、日本で判っている以上の新しい内容は特に見られなかった。同時期に米国でInternet World'97が開催されてMicrosoft、Netscape、IBMなどから新しい技術が発表されたが、CeBITの方では特にこのようなこともなく、例えばMicrosoftのブースではIE4.0ではなくIE3.0(もちろんドイツ語版)をデモしていた(Microsoftのブースでは唯一SAP社との連携が日本では見られない内容だった)。やはり、技術アピールの場というより既にある商品の商談の場なのだろう。
コンピュータ関連の展示・デモ環境はほとんどがWindows95/NTであり、Macintoshはほとんど見られなかった。これは目に見えるクライアント側の部分であり、サーバ側にはunixが使われているケースも多かったと思われる。
日本のメーカー各社も出展していたが、液晶、MPEGチップといったキーデバイスを武器にした商品で売り込みをかけていたシャープと日立が元気なように感じられた(これは個人的な感想)。
三菱電機はディスプレイ、プリンタ、フロッピー、DVD、スマートカードなどのデバイス関連を中心とするメインブース(ホール8)、apricot PC関連(ホール12)及び携帯電話関連(ホール26)の3ヶ所のブースに分かれて展示を行った(建物も別でそれぞれ徒歩10分以上の距離)。この中で、VISUALSHOCKはデバイス中心のメインブースのNew Technologyコーナーに展示してデモを行った。New Technologyコーナーには、VISUALSHOCK、MonAMI(Java端末=NC部)、ジェスチャー入力型インタラクティブゲーム(先端総研)の計3件が出展された。
デバイス中心のブースだったこともあって来場者の中でソフトウェアやシステムを見に来たという人は比較的少なかった。それでもマルチメディアで見栄えのするデモだったこともあって、非常に多くの人からリクエストされてデモを見せた(配布したパンフレット1000部以上、CD-ROM400枚)。もともとソフトウェアを見に来たのではない一般の人も、クリックで次々と情報が現れるデモを見て、ほとんどの人が「おもしろい、便利そうだ」という感想を持ってくれた。名刺交換までした人は約50名だったが、おおむね好評で多くの人から「いつからいくらで売るのか」といった具体的な話を聞かれた。ただし、レバノン、スロベニア、エジプト、スリランカなど人が自国で使いたいというような話もあり、基本的には「これは技術展示であり(日米以外での)製品化は未定」との見解で通した。最初に述べたようにCeBITは技術アピールの場ではなく商談の場ということからすれば、若干場にそぐわない感はあった。
先方の研究内容としては、DOLPHIN、SEPIAを見せてもらった。研究の方向性はハイパーメディア技術を使って分散環境における協調作業を実現するということであり、GMD全体としてはネットワークの基盤技術等のテーマにも数多く取り組んでいるようだった。ただ、ハイパーメディアの部分は独自の構造定義とインタフェースに閉じており、今の時代としては少し古いように感じた。しかし、ペンによる手書き文字やゼスチャーによってハイパーリンクを定義したり実行できる点は直感的でわかりやすく非常に参考になった(手書きで文字を書いて四角で囲むとノードになる。ノードを結ぶとハイパーリンクになる・・・これはVISUALSHOCKと同じ。ノードの中に線を入れるとノードが開く等)。これらの成果はドイツ政府の中で試行されているとのことだった。